WordPressのマイナーアップデート(例:6.8.1から6.8.2への更新)は、通常、セキュリティ保護のために自動で行われるよう設定されています。しかし、サーバーのファイル書き込み権限の制限、あるいは保守方針として「勝手に更新されて不具合が出るのを防ぎたい」という理由から、手動更新を選択しているケースも少なくありません。
本記事では、クライアントワーク(Web制作・保守運用)を想定し、サイトの安全性を最大限に高めつつ、プロとして確実に行うべき手動アップデートの手順を2000文字相当の内容で徹底解説します。
アップデート作業において、最も重要なのは「更新作業そのもの」ではなく「作業前のバックアップ」です。万が一、更新中に通信が途切れたり、サーバーエラーが発生してサイトが真っ白になった場合、バックアップがなければ復旧は困難になります。
FTPソフト(FileZillaやCyberduckなど)を使用し、サーバー上の全てのファイルをローカルPCにダウンロードします。特に、画像データや設定ファイルが含まれる以下のディレクトリは必須です。
ファイルだけでは不十分です。記事本文やサイト設定が保存されているデータベースのエクスポートも必ず行いましょう。phpMyAdminを使用するか、「BackWPup」や「All-in-One WP Migration」といったプラグインを活用して、最新のSQLデータを保存してください。
保守管理を請け負っている場合、事前の報告なしに本番環境を操作するのはリスクがあります。作業中に一時的に表示が不安定になったり、メンテナンス画面が表示されたりする可能性があるため、あらかじめ了解を得ておきます。
【報告メールの雛形】
件名:WordPress保守管理(システムアップデート)実施のお知らせ
内容:
お世話になっております。サイトのセキュリティ維持のため、本日◯時よりWordPressのマイナーアップデート作業を実施いたします。
作業中、数分程度メンテナンス画面が表示される場合がございます。細心の注意を払って進めてまいりますが、あらかじめご了承いただけますと幸いです。
完了次第、改めてご報告いたします。
管理画面から「今すぐ更新」ボタンを押すのが最も簡単ですが、それが機能しない場合や、より確実にファイルを入れ替えたい場合は、FTPによる手動上書きを行います。ここが最も慎重さが求められるステップです。
WordPress公式サイト(ja.wordpress.org)から、現在提供されている最新版のZIPファイルをダウンロードし、手元で解凍します。
解凍したフォルダの中から、以下のものだけをサーバーへアップロードして上書きします。
※注意:wp-content フォルダは絶対に上書き・削除しないでください。ここにはお客様がアップロードした画像や、カスタマイズしたテーマファイルが含まれています。
ファイルの上書きが完了したら、ブラウザでWordPressの管理画面にアクセスします。バージョンアップの内容によっては「データベースの更新が必要です」という画面が表示されるので、ボタンをクリックして数秒待ちます。
「更新が完了しました」というメッセージが出ても、まだ安心はできません。環境の変化によって動作に支障が出ていないか、以下の項目を検証します。
キャッシュの影響で正しく表示されないことがあるため、ブラウザのシークレットモードや、キャッシュをクリアした状態で確認します。
マイナーアップデートの影響でPHPの挙動が変わり、メール送信に不具合が出るケースが稀にあります。必ずテスト送信を行い、以下の2点を確認してください。
全ての検証をパスしたら、最後に完了報告を行います。単に「終わりました」だけでなく、何を検証したかを明記することで、お客様に安心感を提供できます。
【完了報告メールの雛形】
件名:【完了報告】WordPressアップデート作業が完了いたしました
内容:
お世話になっております。先ほど予定しておりましたWordPressのアップデート作業(v6.8.xへの更新)が全て完了いたしました。実施内容は以下の通りです。
・WordPress本体の更新適用
・主要ブラウザおよびスマートフォン実機での表示確認
・お問い合わせフォームの動作テスト(正常に送受信されることを確認済み)現在、サイトは正常に稼働しております。引き続きよろしくお願い申し上げます。
WordPressのマイナーアップデートは小さな変更に見えますが、セキュリティの脆弱性を塞ぐ非常に重要な作業です。手動で行う際は、「バックアップ」「正しいファイルの上書き」「入念な動作確認」の3点をセットで習慣化しましょう。
もし作業中に不明なエラーが発生した場合は、速やかに作業を中断し、手順1で取得したバックアップから復旧(ロールバック)する決断力も大切です。